汝は人狼なりや?(※修正中。順を追って公開していきます)
 突然の出来事に、唖然とせざる得ないクラスメートたち。


「あー……。まだ、足りない」


 不意に顔をあげ、不服そうに表情を歪ませる由良城さんの頭の上には……普通の人ならば何も存在しないその部分には、自分が人狼だと主張するための狼の耳が生えていた。自分の髪と同じ茶色の耳。

 いや、それだけじゃない。由良城さんの爪は徐々に鋭く伸びていき、口からは鋭く尖った牙が見え、そして、ゆらゆらと揺れる茶色の尻尾までもが生やされている。


 ──それは、誰がどう見たって。

 由良城さんの正体は〝人狼〟だということを、正真正銘、表していた。


 どさり、と、その場に崩れ落ちる如月さん。地面にはかなりのスピードで赤い液体が広がっていくのが見えた。それはつまり、出血量が多いということ。

 少しだけ覗き込むようにして横たわった彼女を見やると、首元が抉られるように食いちぎられているのが見える。本来あるはずの首筋が、無造作に食いちぎられてしまったことにより空間と化しているんだ。反射的に自分の口を両手で塞ぐように覆う。

 まるで品定めをするように、舐めるように辺りを見渡す由良城さんの開いた口から垂れている赤い液体は……言わずもがな、如月さん自身の……血……?

 それじゃあ、横たわってピクリとも動かないでいる彼女は……認めなくないけれど、やっぱり如月さん自身で……。さっきまで普通に会話をして、生きていた如月さんは──彼女は──。


「きゃああああああっ!!!」


 明智さんの悲鳴を引き金に、みんなも一斉に悲鳴をあげたり、逃げ惑ったり。パニックに陥ってしまった。
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