生贄投票
いったい何がどうなっているのか……?


「オイ! 何だよこれ?」


歩いていく康介の背中に向かって、巌は声をかける。


「ボットだよ。自動でタップしてくれるプログラム……って言っても、オマエの脳みそじゃ理解出来ないだろうけどな」


振り返った康介は、思い切りバカにしたように笑った。


生まれて初めてのエッチが出来ると思って浮かれていたのに、一転どん底に突き落とされてしまった。


クラスメイトたちの反感を買っている巌は、どうせ来週の生贄に選ばれるのは自分だと思っているから、死ぬ覚悟はしていたのだ。


「クソぉ~~~」


巌はそのまま家の中に駆け込むと、台所に行き包丁を手にした。


「この俺をバカにしやがって、ぶっ殺してやる!」


自分だけで死んでたまるか。あの二人も道連れにしてやる。


巌は包丁を握り締めると、そのまま二人の後を追って、玄関から飛び出して行った。
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