生贄投票
「とにかくもう止めろ」


藤本は起き上がった雅治と、涼花に向かって言う。


「まぁ良いわ。どうせ今夜の投票で、みんなアンタに入れるんだし。覚えてなさいよ。アンタが生贄に選ばれても、絶対にタップしてやらないから」


「何でアタシって決まってるのよ!」


「アンタは契約変更したから、自薦立候補って決まってる。だからみんなは誰かを選ぶより、すでに決まってるアンタに入れるに決まってるでしょ」


涼花は明里を睨んだまま言い放つ。


悔しいけど、その可能性が高いと、明里はそう思った。


「みんな涼花に入れてよ。コイツが二階堂先生を殺したんだよ。コイツが死ねば、きっと生贄投票はなくなるはずよ」


頭の中がゴチャゴチャで、訳が分からなくなっている明里は、

何か言い返さなきゃと思った言葉が、そのまま口から出てしまった。
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