いい加減な恋のススメ

まさかのベッドイン！？

高校から、その気持ちが消えたことなんて本当はなかったんだ。


「安藤先生！」


後ろから声を掛けられて振り返るとそこには同じ実習生で英語専攻の川西先生がいた。実習生は基本学校まで徒歩あるいは自転車で通うことを原則とされている。だから私は最寄りの駅で降りて歩いているわけなのだけども。


「おはようございます」

「おはよー！ていうか同じ年だし敬語要らないよー」

「いえ、そんなことは……」


人間関係はきっちりしておきたい。だって4週間も一緒に頑張るんだもん。
川西先生はそう意気込む私に「安藤先生ってば真面目ー」と、


「えっと、下の名前泉だったよね？いーちゃんって呼んでもいい？」

「ええ、い、いいですけど……」

「じゃあ私も彩ちゃんとかあーやんとかあーちゃんって呼んでもいいからね！」

「……」


きゅるるんとした目で見つめられ、私は促されるまま「はい……」と頷いた。絶対呼ばない。


「あ、泉ちゃんだ！おはよー！」

「っ……お、おはようございます！」


不意に男子生徒らから声を掛けられ、立ち止まって頭を下げると彼らがクスクスと笑い声を漏らした。


「泉ちゃん真面目過ぎー」

「生徒相手に頭下げなくても」

「うっ……こ、今度はちゃんとするから！」


その男子たちは川西先生にも挨拶をすると私たちを置いて先に行ってしまった。