不完全恋鎖
不完全恋鎖
私は知っている。


あのイケメン兄弟が一学年下の彼女の事を好きだって事。


私は昔から人を観察するのが好きだった。


今やそれを生業とするまでになった。


キャンパス内で初めて金髪頭の兄を見た時、単純にその何事にも興味のなさそうな感じが妙に気になった。


それで何となく目で追っていると、面白い事が見えてきた。


ーーーへぇ、金髪くん、あの子の事が好きなんだ。


恐らくは誰も気付かない。


金髪くんが彼女を好きだって事。


だけど私には分かる。


ずーっと見ていれば分かる。


金髪くんがあの子に向ける目が特別な意味を持っていることに。


残念な事に彼女はそれに気付いていない。


仕方ないか。


何故か金髪くんは彼女をトモダチと呼び、そして手当り次第、女の子をとっかえひっかえしているからな。


益々、私は彼と彼女に興味が湧いた。






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