溺愛モラトリアム 【SPシリーズ新城編】
6.不審者


翌々日……。


結局足を捻挫していた私は、松葉杖で出勤した。

殴られた頬にはシップが。

当然警護には出させてもらえず、警視庁のSPルームでデスクワークを命じられた。


「うわあ、痛々しい。なんでこんな綺麗な顔を殴ろうと思うのかね!今回のテロリストは人外鬼畜だ!」


班長は私のパソコンに今までの報告書と今後の警護計画書のテンプレをメールで送ると、ぷんぷんと怒って言った。


「まあ、あのバカ息子くんも実家に帰ったことだし、警護も他の班と合同でできるようになったから。それほど人手が足りないわけじゃないから、ゆっくり休むといいよ」


気を遣って言ってくれているんだろうけど、やっぱりへこむ。

まだSPになったばかりなのに、早速足をくじいて戦線離脱なんて……。


ちなみに、国分議員は再度の襲撃に恐れをなしたのか、あれだけ嫌がっていた実家へ、あっさりと帰ったらしい。

他の特殊班メンバーは、そちらで警護を続けている。


慣れないキーボードに向かい、ぽちぽちとゆっくりキーを叩いていると……。

──コンコン。

普段はほとんど叩かれない特殊班のドアがノックされた。


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