【完】R・U・I〜キミに、ひと雫を〜
手足が麻痺する。痺れて、世界が色すら失う。ルイがいないだけなのに。


「笑里……っ!」


「嫌だ。怖い、こわい、こわいこわい……」


あんなに独りを求めていたのに、もうあの日々には戻れない。ルイがいないなんて。傍に、いないなんて。


「何だよ、いつも澄ました顔してるくせにどうしたんだよ。大丈夫だよ、大丈夫、大丈夫」


里佳子が私を抱き締め、あやすように背中を摩って落ち着かせようとしているのが分かる。


里佳子は細過ぎるくらいに細いけど、ルイとは違う、女性の柔らかさを持っている。


ルイじゃない。ルイがいない。ルイ、ルイはどこに行ってしまうの?


「悪い!何かコイツも調子悪いみたいだ。もうしばらく休ませるから、他の空いてる女子二人、どっかから捕まえて!アタシは次からは合流すっからとりあえず負けんな!」


「あ、わ、分かった!」


里佳子が機転を利かせてその場を動かし、私を体育館から連れ出す。


「保健室に行くか?それとも美樹部屋について来るか?……アタシ、今から美樹に酷な事、聞に行くけど」


酷な事とは、里佳子が先程気付いた事だろうか。正直、今は身体が辛くて、心も痛くて、横になりたいのが本音だ。でも。


「一緒に行くに、決まってます……」


その答えが残酷でも、絶望でも、私も知っていたい。だって、私とルイは、ずっと昔から運命共同体なのだから。
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