【完】R・U・I〜キミに、ひと雫を〜
無知な自分が罪だという優しい人が私の傍にいてくれる。


「これまでだって正しいか間違いかなんて分からないまま来たんだ。皆の納得出来る決断をしよう。そうしなきゃ、笑里ちゃんだって前を向けないだろう?」


混乱の中でも、その時の最前の行動や言葉を考えてくれる人も傍にいてくれる。


「ここで、俺達がちゃんと納得しないままどちらかを選んだら、ルイに呪われちゃうよな」


どんな状況でも、誰の気持ちも見捨てない神様だって、傍にいてくれる。


ルイがいてくれたから、確かにこの世界に存在してくれたから、傍にいる人達の顔が見えるし気持ちが伝わるのだろう。


そして、ルイへの想いもまた、ルイがいて、皆がいたからこそ気付けたのだ。


心のどこかでまだ現実を受け入れられていないのも本音だけれど、私は決断するという贖罪に対して、目を逸らしてはいけない。


ルイが与えてくれた全てと目を逸らすのと同じになってしまうと、そう思うから。


ねぇルイ、君ならどうする?愛する存在への選択を。


問いかけても、ついさっきまで隣にいた筈のルイの声は返ってこない。姿は見えない。温もりも感じられない。


ルイは、もうこの世界にはいなくなってしまったのだから。
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