【完】R・U・I〜キミに、ひと雫を〜
「ナルも煩い。ボク、今エコモードだから放っておいて」


ルイにぴしゃりとシャットアウトされた嶋山成は、眉毛を下げてしおしおと自分の席へ戻る。


「えーん!出た!ルイのロボットっぽい発言!最近ルイ、片岡に似てきたよなー。日に日に冷たくなるー」


「いや、ルイが冷たいのは結構前からじゃね?燭もそう思うだろ?」


しおしおしている嶋山成に、とどめの一言を刺した里佳子。


いや、この際とどめだったのはどうでも良い事で、今の一言には驚きの部分があった。それは、見逃す事は出来ない。


「あれ、御堂、今……楠本の事。この間あんなんだったのに」


嶋山成もそちらに意識が行ってしまったらしく、驚きを隠せない表情だ。


里佳子の方は何故嶋山成が驚いているのか分からないといった表情から、みるみる顔を赤くして行く。


助けを求めるように里佳子がその顔を私に向けるが、私は表情を変えることなく里佳子をじっと見つめた。


勿論、私がそれに対して助け舟を出す事は無いのだけれど。
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