≪短編≫群青
chapter 5


火曜日。



完全に回復して学校に行くと、教室で、なぜか仲よく話している萌と園山くんの姿があった。

私のすぐ後に、今日は遅刻せずに教室に入ってきた大雅も、そんなふたりの様子に気付き、怪訝な顔をする。


一体、どうなっているんだと、入口で立ち尽くしていた私に気付いた萌は、



「あ! 綾菜ちゃん、おはよー! 風邪、もう大丈夫? 心配したんだからねぇ!」


いつも以上にテンション高く声を掛けてきた。



「熱はもうないから大丈夫だよ。それより、萌」


と、目だけを園山くんの方に移して問う。

萌は「あぁ」とうなづき、



「あのねぇ、綾菜ちゃん風邪引いて休んでたから連絡しない方がいいかなぁ、って思ってたんだけど、私とシュウ、付き合うことになったんだぁ」

「はぁ?!」


これにはさすがに驚いた。

てか、『シュウ』って、園山くんのこと?


信じられなかったけど、でもいつの間にかそんな風な呼び方に変わっているところが、それが事実であるという証なのだろう。



私の後ろで話を盗み聞く形となってしまった大雅もまた、目を丸くしていた。



「ちょっ、ちょっと待ってよ! いつの間にそんなことになったの? 今まで特に仲よかったとかでもないじゃない!」


むしろ萌だって私と同様、うるさいチャラ男軍団を嫌がっていた側じゃないか。

口をパクパクとさせながら問う私に萌は、何かを思い出したように体をくねくねと動かしながら、



「金曜日の放課後、私と綾菜ちゃん、別々に帰ったじゃん? 私それから街でショッピングとかしてたんだけど、その時、コンビニで偶然、シュウに会って。で、なんとなく話してたらお互いに観たい映画が同じってことが判明して」

「………」
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