恋はしょうがない。〜幸せな結婚式〜



その時、真琴のお腹の中で二人の間の小さな命が、グルンと大きな“寝返り”を打った。
この命が産まれ出る時には、もっと大きな喜びに包まれるだろう。


…そして、その後も…!

二人で一緒に生きていけるだけで、未来はただ明るく輝いている。



「どうぞ皆様方そのまま、大きな祝福の拍手にて、 お二人をお送りいただきたいと思います。新郎新婦のご退場です!」


朗らかで力強い気持ちのこもったアナウンスに促されて、いっそう大きな拍手が辺りを包み込んだ。



真琴はこの拍手を耳に留め、光に満ちた澄んだ春の空気を胸いっぱいに吸い込んで空を仰ぐ。



「桜が……すごく綺麗……」



「うん…、俺らが出逢った、あの日と同じだな……」




真琴のつぶやきに古庄も、自分たちを取り囲むように、しだれて咲き誇っている無数の花々を見渡した。




「おめでとうー!」



「先生たち、おめでとう!!」



レッドカーペットの両脇では、お祝いの言葉を口々に言いながら、フラワーシャワーの準備をしている生徒たちが待ち構えている。



古庄は真琴にしか向けない優しい微笑みを湛えて、手を差し出した。




「さあ、行こうか…!」




物怖じせずまっすぐな瞳で、真琴も古庄に微笑み返す。




そして、桜の花びらと明るい光が降り注ぐ中へと、二人は手を携えて歩き始めた。













     ―― 完 ――


  「恋はしょうがない。31/2」






※ この後の古庄と真琴の〝新生活〟のお話を、読者の皆様からのご要望も多かったことから、執筆を始めました。ただ今、ファンの皆様限定にて公開しています。(ファンメールにて送信されるパスワードが必要です)


※ この作品に登場する佳音を主人公としたスピンオフ作品「恋は死なない。」には、9年後の古庄夫妻が登場し、重要な役目を果たしてくれています!この二人がどんな家庭を築いているのか……気になる方は、読んでみてください!


※ この作品に登場する石井先生を主人公としたスピンオフの短編「毎日、休日。」は、この作品とはまた違ったテイストの作品になっています。ぜひ併せて読んでいただければと思います。


※ 次ページのあとがきも、是非お読みください!!


< 32 / 34 >

この作品をシェア

pagetop