美男子の恋事情!


◇◆◇

「そんな落ち込むなよ。ちゃんと話せば誤解だってわかってくれるって」



電車に揺れること数十分。


ドアの脇に凭れて移りゆく景色をボーッと眺めていると、俺の反対側に同じように立つ拓真が言った。



「別に落ち込んでない」



拓真に慰められるのがなんか癪で素っ気ない振りをするけど、内心は凄く焦ってる。


春川さんの影の落ちた暗い顔を見て…あんな顔をさせて、焦らないわけがない。


誰よりも大切な人を、俺が悲しませてしまったんだから。



「ったく、不器用な奴」



拓真の言葉を聞いてない振りして、これからどうしようか考える。


とにかく春川さんに会いに行こう。


俺は彼女にあんな顔をさせたいわけじゃない。


笑っていてほしいんだ、俺の前で。




春川さんに傘を返した日、俺達は連絡先を交換した。


他愛のないメールのやりとりをして、それだけで満足してるわけじゃないが、なかなか進展はなく時は過ぎた。



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