2011の空へ
始まりの出逢い
3年目の桜

3年目も一緒に見ると約束した桜

桜を見るとあいつの面影を思い出す。

2011年3月11日のあの日、私たちの
生活が一変した。


『いかないで』

そう心で叫んで、何度言えばよかったと
そう後悔してももう元には戻らない。


私達の出逢い、そうあれは学生時代にさかのぼる。



大学1年の私は、元々裕福な家で何不自由なく育った。

大学入学直後、父親の事業の失敗で
家計が傾いた。

そんな矢先、家計を助けるため私は昼は学生、夜は銀座のホステスとして働きはじめた。

世間知らずの18才の女子には、何もかもが初めてで嫌気が指した。

酒に弱い私はふらふらだった。

顔には出さす笑顔で仕事した。
必死だった。

『おねーちゃん、胸でかいね』

(やめろ、変なオヤジども)

気持ちをきりかえがむしゃらに接客した。

1年くらいたち、仕事になれ、私はとあるお客に気に入られ一緒にデートとやらに出かけることになった。

『おい、、お前きいてんのか』

出かける前一人の男が店先で私に声をかけた。

『はい?』

私は後ろを振り向いた。

『お前だよ、お前』

20才そこらの私と同いくらいの年の男、
色は黒いが目が大きく、、大きな瞳で
私をじっと見つめてきた。


誰だこいつはと思った矢先、

『おい、お前なんも分かってねーんだな。
お客がお偉いさんだから俺が護衛でついていく決まりなんだよ』

何ホステスってそんな制度あるんすか?ってかそんなヤバイ人なのお客?


『いくぞ』

そう言われると黒服の男に腕を捕まれ外へ出た。

ん?てかこの男の黒服の裏側に銃?
ヤバイ、ヤバイ世界に来てしまった。

そのまま六本木までその男の車でお客と待ち合わせている高層階の高級バーへ向かった。


あくる日、護衛の男の待つ車へ
戻った。


男は一声

『お前なんでこの仕事はじめたんだ?』

私は一声

『生きてくため』

男はふと微笑した。

『お前名前は?』

『ゆい』

私はそう、男の顔を見ずに言った。

『俺は、かい』
『、、よろしくな』

それが私達の出逢い
だった。
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