EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ【白魔編】

「小鳥」

強めに名前を呼び、小鳥の言葉を白魔が制した。

そして更にきつく彼女を腕に閉じ込める。

「…ごめんね。それでも僕は、君との子が欲しい…」

ハッ、と息を呑む小鳥。

「我が儘だって、わかってるけど……欲しいんだ」

最高のエゴイストだと自覚してなお、白魔は望む。


「白魔さん……」


求められることは嬉しくて。

望まれたもの以上を与えたくなる。


(白魔さんが望むなら……私は…)


与えてしまう。


「っ…うぅ…」


胸が苦しくて、小鳥はぽろぽろと涙を溢れさせた。

「ごめんね…悪いのは僕だ。小鳥は悪くないよ。だから…」


――苦しまないで


苦しめている元凶がそんなセリフ、言えるわけがない。

悔しさと切なさで唇を噛み、白魔は最後の言葉を飲み込んだ。








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