友達になるということ
借り





「いってきまーす」


朝。家を出て学校へと向かう道を歩く。


音楽プレイヤーをオンにして、お気に入りのバンドの曲を再生させる。


いつも大好きな曲を聴いている時は、どんなことがあっても心が落ち着くのに、今日はそうじゃない。


頭に浮かぶのは芹香の顔と、のんきに笑うスミレの顔。


「はぁー……」


これからのことを考えるとため息しか出てこない。


中学の二の舞には絶対なるまいとしてきたはずなのに、どうしてまた同じ状況になってしまったのか。


せめて3人グループにだけはなりたくなかったのに……。


昨日の感じだと、やっぱり芹香はあたし達と毎日を過ごすつもりなんだろうな。
スミレも昨日すごく楽しそうだったし。


またひとつ、大きなため息をついたあと、なんとなく前を向くと、のろのろと歩く別の学校の女子高生が目に入ってきた。



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