おでこにキス。
隣の席の君
はぁ……はぁ……


「久しぶりの自転車、キッツー!!」


私は日頃の運動不足を反省しながらも目的地に着く。


今は夏休み中ということもあり、生徒は少なく運動場ではサッカー部が練習していた。



「なっつかしぃー!」



帰宅部だった私はここで昴が練習しているのをずっと見ていた。


付き合う前も、付き合った後も。


歯を食いしばって必死に練習していた昴はとてもかっこよかった。


高校最後の試合、決勝戦で負けた昴の悔し涙は一生忘れない。


あの時ばかりは少しだけ神様を憎んだ。


試合後、慰めるはずが、一緒に泣いちゃったな。



「………日野?お前、日野 梨子か??」



「えっ……安友先生!?」



「そうだよっ!久しぶりだなー!元気にやってるか?」


そこにはサッカー部の監督の安友先生が立っていた。


多少歳はとったけどそんなにかわりない。


「元気ですよ!先生もまだいらしたんですねっ!」


「あぁ。未だにサッカー部のクソガキのお世話してるよ。いやー今日は珍しい客ばっかりだな。」


「えっ?」


「いや、何でもない。で、どうした?」


「先生、ちょっとだけ教室見せてもらえませんか?」


「あぁ。校舎空いてるから、行ってこればいい。」



「ありがとうございます!」




先生の言葉に引っ掛かったけど私は教室へと向かった。

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