妖の王子さま
六ノ章

芽生えの気持ち




「白玖が、暴走した?」




屋敷に戻り、白玖がお風呂に行っている間多々良は戦の時の事を蒼子に話していた。
蒼子が死んだかもしれない。
そう思った、その後の白玖の事を。




「怒りに我を忘れ、ただ怒りのままに戦っておられるようでした」

「・・・そうなの」

「おそらく、今まで感じたことのない感情が一気に溢れだしたことに、心が対処しきれなかったのかと」

「今まで、感じたことのない感情・・・か・・・」




白玖が、心を持ってくれていることは嬉しかった。
でも、もしそれが白玖にとって負担になるのなら、と蒼子は少し怖くなった。


今まで、きっと何年、何十年、いやもっとそれ以上の年月を心を持たず、心など知らずに生きてきたのだ。



突然に知った恐怖や、怒り、悲しみ、がどれほど白玖の心に負担だったか。
我を忘れてしまうほどに。




そしてその感情を、自分の身が引き起こしてしまうかもしれないという事実に、一番恐れを抱いた。





白玖の負担になりたくはない。
白玖を護りたいのだ。




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