妖の王子さま

人間界へ




戦いのないときにも、黄の国の長としての仕事がたくさんある白玖は、ここのところ忙しそうにしている。
多々良は、前よりも意欲的になったと喜んでいた。


表情にも、色が出てイキイキとしているように見えた。


そのため、部屋に一人残されることが多くなった蒼子は、牛鬼や志多良と過ごしていた。



志多良や牛鬼もそれぞれに出ていることもあり一人の時間もおのずと多くなっていた。



「はぁ・・・。なんだか、暇だな」



蒼子一人が、なにもすることがなく手持無沙汰な時間が増える。
こうしてここにいることを選んだのは蒼子自身だったが、時々ふと人間の世界の事や学校の事を思い出してしまう。


皆、どうしているだろうか。




一人の時間が増えると、些細なことを考えることが多くなってしまう。





< 261 / 381 >

この作品をシェア

pagetop