冴えない彼はメガネを外すとキス魔になります!
冴えない彼が異動して来た


成二と別れてから4ヶ月が経ち、恋愛に関しては一歩も前に進めないまま、季節は春を迎えた。




「ねぇ、夏希、聞いた?異動してくる人がいるみたいだよ。企画からだって。
珍しいね、設計に企画から来るなんて。」




出勤して来ると今日子が特ダネを掴みました!と言う顔で話してきた。



企画部から…か。



私達が所属している精密機器の設計部では女性が少ない。
設計者が100人いる部署だけど、管理部に庶務的な仕事をする女性が3人と私と今日子のようなCADオペレーターが2人だけ。


イマドキの若い設計者は設計の段階からCADを使用しているので、オペレーターはほとんどいらないけど、忙しいときは彼らの補佐としてオペレーターが付く。



それに手書きでラフ図面を書くベテラン設計者もまだまだいる。
彼らの図面を正確な図面に仕上げるのが私達の仕事。

異動して来る人はCADオペレーターでもないようだし、設計者でもないということだし、企画から異動って珍しいなと思っていた。


その話を聞いた翌日の朝礼。
設計部長と課長に挟まれて、頭ひとつ大きい男性が前に立っていた。




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