冴えない彼はメガネを外すとキス魔になります！

初めての朝

あれから何度も求められ、体には進藤の余韻が残ってる。
けれど、朝、目がさめると隣には進藤の姿がなかった。
その代わり、キッチンからコーヒーの良い香りが漂ってきている。


「おはようございます。」
メガネをかけた穏やかな顔は、昨夜、私を何度も求めてきた進藤とは同じ人物とは思えない、いつも通りの普通の…冴えない進藤だ。


「コーヒー飲みますか？」
と、まだベッドから出られない私の横に座ってカップを差し出す。
カップを受け取って「フーフー」と冷ましながらコーヒーを一口飲む。
その様子を隣で見ている進藤がメガネを外しながら、「チュッ」と頰にキスをする。



「ちょっと！」 私は突然のことに驚き、頰を赤らめた。



「昨日はもっとすごいことしてたのに？」
と、私の反応を面白がってる。
メガネを外した途端、冴えない進藤が消えてる。
ふと私の中に芽生えた疑問。



「進藤って、慣れてない？」


「何がですか？」
素っ気ない返事。



「こういうこと。そのぉ…女の人の扱いとか」



「そうですか？普通だと思いますけど。」


「だって…あまり経験してないのかと思ってたし。」


「はい？一応、25年間、男として生きてますから、
それなりの経験は。。。」


それなりに経験してるのか。だよね。
まさか未経験とは思っていなかったけど、あんな風に自然な形で誘う進藤は大人に見えた。
それが心地良かったなんて口が裂けても言えない。



昨夜はお酒の力だけじゃない。
進藤の魅力に、誘いに、自分の気持ちに正直になっただけだ。
自分の気持ちに正直に？
それって・・・進藤の事を？