イジワル上司と秘密恋愛
プロローグ

【プロローグ】


彼はとてもイジワルだ。

「いや……いやです、離して……」

私がどんなに泣いても拒んでも、柔らかそうな唇をクッと歪ませて愉快そうに微笑むばかりで。

「嫌と言われるともっといじめたくなるね」

切れ長な三白眼のたれ目に冷酷な妖しさを浮かべて見つめる。


白いシーツの上で波打つ私の黒髪をひと房掬い、そこに言葉とは裏腹な丁寧なキスを落とされた。

その光景に涙が滲んでしまうのは、馬鹿な私の心が愛と錯覚しそうになってしまうから。

 
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