阿漕荘の2人

お裾分け

練無side


「れんちゃん、入るー」

「ちょと、しこさん

そこは『入っていいですか?』

でしょ?疑問系でしょ?

ここは僕の家で

お邪魔するのがしこさんでしょ」

「なんか小賢しこと、ゆうてんなー

姑みたいにやなー

そんなグチグチしとると

カビが生えるでー」


ここは阿漕荘の2階

証書署名、僕の家だ

そして人の家に

ずかずかと入ってくる

僕より身長も体重もある

ジャイアント馬場の嫁入りしそうな

この女の子は


香具山 紫子


僕優しいからフリガナ付けてあげるよ

カグヤマ ムラサキコ


しこさんって呼んでるよ


「やだー
れんちゃんったら、1人で何ブツブツゆうてんの?

寂しいんやろ?

独り暮らし2年目にして

ホームシックかいなー

このしこさんが慰めてあげるでー」


「慰め?

しこさんに?

しこさん、自分の図体考えてよ?

面積も体積も

僕より大きいんだから


か弱い僕が潰れちゃうよ?」


「……なんや、さっきから

自分、失礼ちゃうの?

あたしゃキミに釈が触ることしたかね?

それにな、

女の子に対して、面積とか体積とか

失礼ちゃう?あーん?

ちょいと身長があるだけやないの


モデルさんみたいってよう言われるの
知らんのかいな


それとも、れんちゃん
あれか、

男の子の日かいな?」


「………

男の子の日って……

逆ならよく聞くけど……

ねぇしこさん、せめて脳内は

女の子に戻しなよ


セクハラだよ」



「あー

もーそないことゆうてー

せっかく、実家から送られてきた

スイカ一緒に食べようって

思ってたんやけどなー」


しこさんは大きなスイカを
片手で持ち上げ

見せびらかすように

僕の前に突き出す


「スイカー‼︎‼︎

なんだーただ涼みに来ただけだって思ってたよ

早くいってよー

ほら、しこさん、座って!

僕が切ってきてあげるよ!

塩沢山ふらなきゃな〜〜〜
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