初恋の甘い仕上げ方
第八章
第八章



夕方、翔平君の車で家に帰ってきた。

師走の日暮れは早く、とっくに辺りは暗くなっていた。

家に入り、リビングの電気をつけた途端、部屋の真ん中にどんと置かれている物に気付いた。

「わー、届いたんだ」

心待ちにしていたライトが、そこにあったのだ。

「予想していたよりも大きかったな」

すらりとした細身のフォルムに手で触れながら、その姿を確認していると、翔平君が隣に立った。

「これ、俺の部屋にあるのと似てないか? あ、同じメーカーのライトだな」

「うん。翔平君の家にあるのを見てからずっと、いいなあって思ってたの。美乃里さんがプレゼントしてくれたソファと同じくらい、ずっと欲しかったんだ」

私の背よりも高く、凛とした雰囲気をまとうライトに目を細める。

ポール部分の直線がなんともいえずクールで、何度も指先で触れてみる。

「だけど、俺がここに越してくるときには俺のライトも持ってくるからいらなかったのに」

「……あ、そうか。でも、あのライトは翔平君のものだから」

「関係ないだろ。一緒にここで暮らすようになったら、というより結婚したらふたりの物だろ、なんでも」

そう言って、翔平君の手が伸び、アーム部分を動かしている。

「ソファの横に置くのか?」

「うん。ソファで翔平君が読書するときにライトをつけるのを見て、格好いいって思ってたんだ」

なんだそれ、と苦笑しつつも翔平君はライトを慎重に持ち上げ、ソファの横に置いてくれた。

そして、ライトの位置を調整してくれる。

映画でも使われるほどのセンスのいいソファとこのライトが並べば、それだけでこの部屋が上等なものに見え、わくわくしてくる。

おまけに、決して安くはないライトの代金も、両親が「引っ越し祝い」と言って出してくれた。






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