【完】幼なじみのあいつ ~亮平の恋愛編~
出会い



今日の部活は、かなりきつかった…。


心の中でボヤキながら、疲れた身体を引きずるように歩いていた時だった。




夕焼け空の下、川岸に光る物が見えた気がして足を止める。




気のせいか?


橋の上から光ったと思われる場所を、食い入るように見つめた。




しかしそんな光は、見る影もない。




やはり、気のせいだったか---


視線を川岸から外そうとしたところでまた、何かが光ったのが見えた。




やはり何かある?



橋の上から身を乗り出し、その光を確かめようと、


………した時だった。




「やめなさいっ!」


は?


やめなさい?




今、俺の周辺には人っ子一人いない。


と言う事は、俺に対して言っている言葉なのか?



不思議に思いながら振り返ろうとした、その時だった。





何者かに腕を引かれ、俺はそのまま地面へと転がった。



一瞬、何が起こったのか分からなかった。




起き上がって、辺りを見渡そうと片手を地面につける。


途端、腹にドシンと重みが乗った。





「グッ?」


あまりの重みに呼吸が一瞬止まり、急いで息を吸った。



瞬間、甘美な香りが鼻腔を擽り呼吸をする事さえ忘れそのまま固まってしまう。




何だこの香りは?


初めて嗅いだその香りはどこか魅惑的で、引き込まれそうだった。




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