空っぽのイヤホン(仮)

Transparence.

つまらない授業。

チョークの音を聞きながら、頬杖をついてため息を吐く。

お風呂のときも、寝る前も

離れなかった五十嵐の掠れた声。

妙にひっかかるのは、どうして。

こんなに他人に干渉したくなることは初めてで、なんだか戸惑う。

沙代に電話で相談したら、

「それが恋なのよ。」

と、艶っぽい声で告げられて
ドキリ、としてしまった。


(あ、飛行機雲。)


五十嵐が雨だと言っていたから折りたたみ傘を持ってきたけど
外は相も変わらず晴天だ。


(まだ、消えない。)


明日こそ雨なのかな。
五十嵐はこの雲見てるかな。
< 17 / 55 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop