空っぽのイヤホン(仮)
な、何っ…!?

音の感じからあまり強く叩いてるわけじゃなさそうだけど…。

口を開けて固まる私をよそに
男子生徒は「おい!」と乱暴な声を出す。

はっきり言って、怖い。

「うーん…?」

唸りながら五十嵐が目を覚ました。

ぼんやりと体を起こして、首を傾げて男子生徒を見上げている。

「心、お前いっつも昼いねえと思ったらここにいたのかよ。
教室かえんぞ、聖奈(せいな)も待ってる。」

いきなり現れた金髪の男と、その人が言う知らない人の名前に
困惑した頭はついていけない。

五十嵐は、ふああ、と大きな欠伸をした後で、私に目を向けた。

その視線を追うように男子生徒が私を見ると、目を丸くして後ろに飛び退いた。
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