能あるイケメンは羽目を外す
10、陽斗の無茶振り
……何故沖縄出張のために、ダイビングのライセンスを取らなきゃいけないんだろう。

「私……泳ぐの苦手なんだけどな」

昼休み自席でダイビングの教材を眺めながらハーッと深い溜め息をつく。

昨日、仕事が終わると陽斗にデパートに連れて行かれ、十数着彼が選んだ水着を試着させられた。

「はい、これと、これと……これと……これ」

私の手の上に乗せられる水着の山。

……布地の面積少なくないですか?

これ……着ろって言うんですか?

嘘でしょう?何の拷問?

水着を見て絶句する私の手の上に、陽斗はさらに水着を乗せた。

「これ位でいいかな。じゃあ、着替えよっか」

陽斗が私に向かってにっこり微笑えんだ。この笑顔が曲者だ。

「無理……こんな水着絶対無理!」

私はブンブンと頭を振って拒絶したが、陽斗はそんな私を見てニヤリと笑った。
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