能あるイケメンは羽目を外す
3、現実の世界
会社の始業時間八時三十分ギリギリに席に着く。

私の会社……リゾート開発ソレイユは、丸の内にオフィスがある。

東京駅から徒歩七分。交通のアクセスはいいし、本社ビルの一~二階にはコンビニ、郵便局、飲食店、クリニックが入っていてビルにいれば大抵の事は事足りる。

いつもなら本社ビルの中にあるカフェに立ち寄り大好きなチャイラテをテイクアウトしてオフィスに向かうが、今日の私にはそんな余裕はなかった。

ホテルを出る前、私は財布に入ってた万札三枚を抜いてソファーの近くのテーブルに置いた。部屋代にはほど遠いけど昨日のお酒代だって払ってないのに……このまま帰るのはいけないと思ったのだ。

財布に残った小銭で電車に乗り、アパートに帰る。

タクシーで帰れるほど、ホテルから家は近くない。

鍵を開けてドアを開けると、狭い廊下に高く積まれた段ボールの山を見て頭痛がした。
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