Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜

2 遊園地 Ⅰ




 約束の時間が迫っているのに、みのりはなかなか着ていく服が決まらなかった。
 そう沢山の洋服を持っているわけではないのに、いつもならばパッと思いついた服を適当に着ているのに、今日は変に考えてしまって、着てみては脱ぐの繰り返しだった。


 こうなってしまう理由は解っている。遼太郎に似つかわしい自分でいたいという〝欲〟が、判断力を鈍らせているのだ。

 思い切って若ぶった服を着ても浮いてしまうし、いつものような格好をすれば、遼太郎とあまりにも釣り合いが取れない。
 そもそも十二歳も年上なのだから、服を変えたくらいで遼太郎に似つかわしくなれるはずがないことも分かっているのだが、それでも少しでも…と思うのが恋心というものだ。


 結局、最初に考えていたように、コットンのセーターにハーフパンツを合わせ、カジュアルなスプリングコートを羽織った。部屋中に散らばった服たちは、片付ける暇などないので、そのままにして出かけることにする。


 バッグを持ちブーツを履いたところで、玄関のチャイムが鳴った。
 ドアを開けると……、そこには恋しくて会いたくてたまらなかった人が立っていた。その姿を見た瞬間、その胸に飛び込んでいきたい衝動を、みのりはグッと我慢した。

 間髪いれずに、すぐにドアが開いたので、遼太郎の方も少し驚いているようだ。


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