Rhapsody in Love 〜幸せの在処〜

5 切ない心の中




 泣いていたらしいみのりが気になっていた二俣は、みのりを何とかして笑わせようと必死になった。


「みのりちゃん。みのりちゃん。知ってっか?試合をした後は、穴という穴から砂が出てくるんだぜ!」


 二俣のその言葉に、他のラグビー部員たちからドッと笑いが起こった。


「そうそう、特に今日みたいに砂煙にまみれた時なんかは!」


「家に帰っても、最初に風呂に追いやられるし。」


「洗濯機が泥と砂で壊れる…って、言われたこともあるかな。」


 ラグビー部員たちは、自分たちの汚れ自慢を始める。汚れることを嫌がっている風は全くなく、却ってそれを勲章のように思っているみたいだった。


「遼ちゃんだって、あんなに涼しい顔してっけど、家に帰ると出てくるんだぜ。おぞましいものが…!」


 そう言われて、みのりが疑問に首をひねると同時に、遼太郎の方が眉根を寄せて口を開いた。


「何だよ。おぞましいものって?」


「…真っ黒な、鼻くそ!!」


「ギャハハハ…!!」


 二俣のその一言に反応して、同じ経験のあるラグビー部員たちの更なる大爆笑で、周りは騒然となった。


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