溺愛ドクターは恋情を止められない

大失態!?

先生のマンションは、病院から十五分ほどの場所にあった。


「なにやってるの? 入れば」


病院からさほど遠くないのは、きっと呼び出されたときのためだろう。

彼の優しさに甘えてしまった私は、結局、ついてきてしまった。

先生にはとんでもない迷惑をかけているに違いない。
だけど、あの光景が……さやかちゃんの血だらけの姿と、母の最期の瞬間がリンクして、たまらなく苦しい。


「お、おじゃまします」


玄関を入ると、正面にドアがあった。
先生に続いて足を踏み入れると、六畳ほどのダイニングルームだった。

先に入った先生は、もう冷蔵庫を開けている。


「狭くて悪いな。適当に座って」


ダイニングルームの隣は八畳ほどの寝室で、ふたつの部屋をつなぐ引き戸は開けられていた。
寝るだけの部屋なら、これで十分だ。


部屋の片隅に、二人掛けのソファ。
これ以上大きいと、部屋を占領してしまいそう。
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