笑顔の裏側に

真の姿

時計を見るともう6時。

ふわりと眠ってしまったようだ。

椅子に座って体温計を挟む。

頭はまだ痛いが、気分は悪くない。

その代わり昨日吐いたからか喉が痛い。

ちょっとすると体温計が鳴り、表示を見ると、37.5。

熱と微熱のギリギリのラインだ。

でも私にとってはこのくらいじゃ熱のうちに入らない。

まだ少しだるい体を動かして片付けものを始めた。

そして2階の掃除をして戻ってくると、先生が起きていた。

「おはようございます。」

「おはよう。体調はどう?」

起きて第一声がそれか。

心配かけてしまったようだ。

「はい、もう大丈夫です。ありがとうございました。」

なるべく元気に明るく、だけど不自然にはならないようにそう言う。

「まだ顔色が良くないから、無理するなよ。」

大丈夫なように振舞ってもまだ心配なようだ。

私は大丈夫なのに。

「今、朝食準備しますね。」

あえて話題を変えてそそくさとキッチンに向かう。

スクランブルエッグとトースト。

椅子に座って待っている先生の元へさっと作って運んで行く。
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