坂道では自転車を降りて
コンクール
 月曜・火曜は文化祭の代休だった。原が映画に行くというので俺もついていった。伊勢佐木町の商店街の奥の地下にあるすごく変な映画館が、すごく変な映画を時々やっている。もしかしたら大昔はポルノとかをやってた映画館なのかもしれない。
 変な映画館だし、平日だからもっと空いてるかと思っていたのに、案外混んでいた。映画を終えて、歩道のベンチでジュースを飲んでいると、原が切り出した。

「週末コンクールあるだろ。その次の日曜日 どうかな?」
「どうって?」
「東さん、連絡して来た。お前とどっか行きたいって。ぽわっとして見えたけど、積極的だな。」
「。。。。そうなんだ。」
こいつはちゃっかり連絡先を交換していたのか。

「俺とお前と、あっちは東さんと山本さん。」
山本さんはあのとき一緒にいた子かな。
「それって、山本さんがお前を誘ってるんじゃないの?東さんをダシにして。」
「いやいや、東さんが連絡して来た。お前に会いたいんだって。空いてる?」
「うーん。」
「じゃあ、決まりね。」

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