“もしも…”
車の中で“もしも”の話
車は夜の高速道路を軽快に走る。

真っ暗な景色が、窓の外をすごいスピードで流れていく。


車の中には、あなたと私。

あなたが運転席でハンドルを握り、私は助手席で他愛もない話をする。


「急に信号機が出てきて、赤だったらどうする?」

「ビックリする。“えぇーっ?!”って。」

くだらない“もしもの話”に、私たちは声を上げて笑う。


しばらくすると、私はまた話し掛ける。

「このすぐ先に踏み切りがあったらどうする?遮断機がカンカンカン…って。」

「えーっ、大事故になるよ。」

そしてまた、声を上げて笑う。


高速道路をおりて家に向かう道の曲がり角で、私はまた尋ねる。

「ここ曲がってすぐ、一方通行で高速道路の入り口だったらどうする?」

「次どこ行く?って…何回高速乗るんだ。家に帰れないよ。」


他の人が聞いたら、面白くもなんともないかも知れない会話。

あなたと私にとってはとても面白い“もしも”の話。



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