君色ドラマチック
5.君色ドラマチック


スマホを解約し、新しいモノにした。

その途端体調を崩し、何日も寝込む羽目に。

精神的なものなのかはわからなかったけど、一向に体調は良くならない。

なんだか一日中眠たくて、体がだるくて、何もやる気がしない。

減っていく体重と荒れていく部屋を見ていたらさすがに心細くなり、アパートの鍵は持ったまま、一旦実家に帰った。

課長に体調のことを話したら、在宅ワークでも構わないと言うので、家でパソコンを使い、細々とした仕事を退職までこなすことになった。

あとは、櫻井さんから具体的な指示が来るのを待つだけ。


「慧、アパートの家賃がもったいないから、早く引き払いなさいよ」


いつでも帰ってきて良いという母は、夕飯の支度をしながら、居間でテレビを見る私に話しかける。


「いいじゃない、私が払ってるんだから」

「だからよ。会社を辞めるなら、貯金をしておかなきゃ」

「少しはあるよ」


私だって、人並みに結婚したいな~とか夢見てた時期があったんだもん。

親に頼りきりにならないよう、切りつめられるところはそうしてきたつもり。

結婚といえば、友達の結婚式の招待状、返信してないや。


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