気になる!
司書室は暖房の効きすぎで、何時も結露がひどかった。


真っ白になった窓ガラスの中、司書の安田は机の引き出しを見下ろし、途方にくれていた。
これが夢であってくれたら、と現実逃避を何度
繰り返したことか。


何度見たところで、現実は変わらない。
こぼれた水はもとには戻らない。


自分はこれからどうすればいいのか。どうなってしまうのか。ふつふつと沸き上がる不安。
考えた所でどうにかなるわけでもない。
でもそうせずにはいられなかった。


例の声が聞こえてきたのは、そんな時だった。


「安田先生!大変ですぞ!」


司書は慌てて引き出しを閉め、司書室を後に
した。


来るべき時は予想よりも、遥かに早かった。
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