「安田先生!大変ですぞ!」
誰とは分からない声が図書室に響いた。
声は、出入り口近くの展示スペースからの様だった。美鶴が向かうと校長と男性一人、生徒が
何人かで円を作っており、呼ばれた司書の安田さんもいた。
どうやら展示している貴重な本に何かあったら
しい。
司書と校長のやりとりが聞こえてきた。
「…そうか鍵、図書委員ですよ!」
美鶴は凌と共に遠巻きに見ていたが、図書委員
という言葉が出てきた事で穏やかでは居られなくなってきた。
「…図書委員がどうかしたんですか?」
美鶴は人の中に自ら入っていった。
注目が痛い。
「君は?図書委員?」
「そうですが…。」
「昨日当番だった生徒はわかるかね?」
「それは…私です。」
校長の表情が急に強ばる。
「正直に答えて欲しい。この本の頁を破い
たのは君かね?」