幸せの定義──君と僕の宝物──
プロローグ─同じ月を見ている─

あの頃僕らは、

ただがむしゃらに恋をしていた。


自分よりも大切だと思える人ができて、

本気で恋をする切なさや、

大切な人を傷付ける胸の痛みや、

大切な人を失う怖さを知った。


なくした恋を何度も悔やみ、

もう届かない想いに涙を流した。



そして今、

僕らはあの頃思い描いていた大人に

なれているだろうか?



僕らは不器用な恋をして、

たくさんの涙を流して大人になった。


若かったあの頃の遠い記憶が

今でも鮮やかに蘇る。



君を傷付けた日の苦い想い。

すべてを捨てて君から遠く離れた長い日々。

長い時を経て君とまた会えた日の戸惑い。

欲しいものを欲しいと言う勇気。

手を伸ばした先に掴んだ君との未来。




何度も重ねた偶然を

偶然のままで終わらせないで

この手で運命に変えて見せる。


あの時離した君の手を

もう二度と離さないように、

しっかりと握りしめ

一緒に歩いていこう。


幸せな未来を、

二人の手で掴むために。


こぼれ落ちそうなほどの幸せを、

これからは、君と二人で。



あの頃僕らは、

大切な人と遠く離れて

涙でにじむ月を見ていた。



そして今、

大切な君と並んで

同じ月を見ている。



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