幸せの定義──君と僕の宝物──
ガールズトーク、ボーイズトーク
レナの出産予定日が10日後に迫ったある日。

ユウたち`ALISON´のメンバーは、地方での夏のライブイベント出演のため、3日ほど東京を離れる事になった。

朝早く自宅を出たメンバーたちは、移動車の中で眠そうに欠伸をしたり、既にうたた寝を始めたりしている。


車の後部座席ではユウとリュウが並んで座り、缶コーヒーを飲んでいた。

「ハルのやつ、ちゃんと迷わずユウんちにたどり着けるかな…。」

リュウが心配そうに眉を寄せた。

「大丈夫じゃないか?ハルちゃんだって子供じゃないんだから。」

「まぁな…でも、子供じゃねぇから心配ってのもあるんだよなぁ…。」

「ん?なんの事?」

ユウが尋ねるとリュウは眉間にシワを寄せて、険しい顔をした。

「アイツな…意外とモテるみたいなんだよ。前も同級生の男に迫られてたし…この間もオレが仕事で留守の時に近所のコンビニに買い物に行ったら、わけわからん男たちにしつこく声掛けられたって言ってな…。」

「ああ…かわいいもんな。今時の女子高生って感じでスタイルもいいし。」

「……そうか?ガキの頃からずっと見てるとわからねぇな…。」

(“そうだろ?アイツかわいいんだよ”とはさすがに言えねぇ…。)

視線をそらしてわざとぶっきらぼうに答えるリュウの肩を叩いてユウは笑った。

「リュウはホントに素直じゃないなぁ。ハルちゃんがかわいくて仕方ないくせに…。」

「はぁ?ユウほど溺愛してねぇっつーの。」

「心配性のリュウのために、ハルちゃんが無事に到着したか、後でレナにメールでもして確認してみるよ。」

「ユウ…最近性格変わったか…?」

「リュウほどじゃないよ。」





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