特ダネには真実を
先輩、事実です
「啄梔!南能はどこだ?!」


「取材でいないわよ。というか、張り付いてたんじゃないの?」



あれから数日、特に進展も無いまま、かといって何もしない訳にいかないので、仕方なく薇晋と崇厩は潮を尾行していたのだが。



「ああ。だが、俺達を撒きやがった。」


「取材先の裏口から出ていったんです。」



事情を話せという圧力の意味も込めて、あからさまに尾行をしていたのだが、なんとも古典的な方法で撒かれてしまった。


すぐさま探したのだが見付からず、戻っているかも知れないと思って陽明日新聞社へ出向いたのだ。



「当たり前じゃないですか。威圧感丸出しで怖い顔した男を2人も連れて、取材先を回るなんて出来ませんから。」


「南能……!」



怒る薇晋の後ろより、取材先から戻った潮がしれっと言ってのける。



「完全に営業妨害です。デスク、何とかしてくださいよー。取材する前に相手が怯えますー。」


「何とかって…あんたねぇ…」



警察を完全に邪魔者扱いだ。


まぁ確かに、尾行を撒く前の取材相手に不審がられたのは事実だ。


啄梔は呆れるが、潮の言うことにも一理ある。
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