bitter and sweet-主任と主任とそれから、私-
優しさのカタチ

本郷主任と2人でディナーをした翌日は2人の主任とどんな顔で会えばいいのかと不安に思っていたのに、本郷主任は何もなかったかのように、いつものように7時15分に自席について新聞を読んでいた。


企画チームのホワイトボードには唯野主任は出張という2文字が書いてあり、今日は顔を合わせずに済むと思うと少しだけ安心した。


「おはよう、安藤さん体調大丈夫?」


始業前、朝から竹之下先輩が顔を覗き込んでくる。



「すみません。ご迷惑おかけしました」

「よかったぁ。唯野主任がすごい心配してたよ」


唯野主任という言葉が出ると、先週末の居酒屋での一件が否が応でも思い出されてしまう。


「本当に、すみませんでした」

頭を下げて平謝りをすると、後ろで手をひらひらさせながら、竹之下先輩は自席に向かって歩いて行ってしまった。

 
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