一生続く恋をしよう。
甘い嫉妬
あれから。

黒木マネージャー。もとい、


比呂人とは、順調に付き合ってます。


でも絶対、仕事場でバレるわけにはいかない。


比呂人の立場的にも、


そして……


私の立場的にも。


私には失うような役職なんかもないし、別に他の店舗に移動になっても、寂しいけど別にいい。


それよりも気になるのは。



三木店長だ。



何となく、比呂人に対して好意があるんじゃないかって思う。



そんな事気にしてるのかって比呂人に思われそうで、比呂人には言ってないけど。


でもなんだか、ひっかかる。


「あっ!奈々ちゃん!前座っていい!?」


同期の健人君が、前の席に腰かける。

今は昼休憩。社食にいる。


「おつかれっ!!今日はどう!?」



「んー。まぁまぁかなー。あってか奈々ちゃんさ、今度の日曜の夜って暇?」


ラーメンをすする健人君越しに見えたのは、比呂人。


健人君は背中を向けているから気づいてない。


そして、たぶん聞こえてる。


比呂人の顔が恐い。


「なぁなぁ!聞こえてる!?今度の日曜に同期会やるんだけどさっ。矢田店の津田って覚えてる?あいつが、奈々ちゃんの事連れてこいってうるさくてさ。あっ前奈々ちゃん彼氏いないって言ってたよね!?」



うん。



健人君。


1度黙ろうか。


君の後ろに同僚と仲良く話ながらも


殺気を立ててる鬼がいるよ。



「あーうーん。ちょっとなぁ。日曜は微妙かなぁ??」



絶対、聞いてる!!


今日帰ったら絶対言われるよ。


「えっもぅ参加って言っちゃった!だって奈々ちゃん来なきゃ、ゆずちゃんも来ないじゃん!津田も奈々ちゃんに会いたいって言ったし!」


けーんーとぉー!!


後ろにいる比呂人が一瞬止まって、そのあと私と目を会わせて、微笑む。


あれは、愛しくて微笑んでるんじゃない。


『てめぇ。わかってるだろうな?』


って言う殺気に満ちた微笑みだ。


「ねっ!まじでお願い!俺がゆずちゃん狙いなの知ってるでしょ!?この通りです。」



そう言って頭を机につける健人君。



私は深くため息をつく。


実は、ゆずちゃんも健人君が気になってる。


この同期会で二人はうまく行くかもしれない。


二人の気持ちを知ってるし、二人ともいい子だし………



「わかったよ。」



「ありがとう!奈々ちゃん!」


そう言って健人君は私に抱きつく。



比呂人の顔が固まり、ひきつった笑顔で私を見る。



健人君アウトだよ!!


ツーアウトだよっ!!



携帯が震える。



『今日仕事終わったら家来てね(^3^)/』

こっ怖すぎる。

いつもはない、顔文字まで入ってる。


私は比呂人の方を見るとひきつった笑顔を向ける。



そんな私に比呂人は、極上スマイルをくれた。







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