私を本気にさせないで
「最初から私を本気にさせないで」
「大森君、これ去年の資料だから目を通しておいて」

「分かりました」

先輩から資料を受け取り席に戻り、早速資料に目を通すものの、口元が緩みそうでそれを押さえるのに必死だ。
仕事中になにやっているんだ?って言われてしまいそうだけど、それにはちゃんと理由がある。

「白田さん、確認お願いしてもいいですか?」

「了解」

俺よりひとつ上の先輩に呼び掛けられ足を止める姿が視界を捉えた瞬間、無意識のうちに彼女の姿を目が追ってしまう。

相変わらず笑顔を絶やさない彼女に、心を奪われてしまう。

仕事ができて、誰に対しても分け隔てなく接してくれて。
そして笑顔が堪らなく可愛い年上の彼女。

そんな彼女が言ってくれたのだ。
俺とイブにデートしてくれると。
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