一年の恋。一年後の恋。
過去の私


豊川商事……名前は古臭い。
今は古臭い名前を捨て
トヨカワ…ただカタカナになっただけ
私がいた部署は、事業開発部


初めは、違う部署にいた
なんでも任される総務部

けど、たまたま食堂で
同僚と話していた内容に
事業開発部の部長をしていた杉下さんの耳に入ってしまった事から
私は事業開発部へ異動となった


話していた内容は私の妄想
こうなれば楽しいんじゃない?
こうすれば、面白いんじゃない?


その発想がえらく気に入った杉下さん
杉下さんは何もわからない私に
色々なことを教えてくれた


事業開発部の仕事は……楽しかった
充実感、達成感……
今までにないものだった

残業も当たり前になる毎日
給料も、それなりに増えた

だから、引っ越した
ただ帰って寝るだけの部屋
なら会社から近い方がいい

少しばかり高くても、関係ない
誰にも相談せず、自分の好みで
しかも、内見1件目で決めた


『ここから眺める東京の夜景が儚い』


そんな理由。
その時には、既に病み始めていたのかも。
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