控え目に甘く、想いは直線的
初めての恋
私、野々宮夕美(ののみやゆうみ)は、一人の男から目が離せなかった。

その男は柴田涼(しばたりょう)といって、私よりも2つ年上の多分24才の男で、同じ大学の先輩でもあった。だけど、私は、この男と言葉を交わしたことは1度もない。

でも、名前は知っていた。なぜかというと、この男が大学の誰もが知るイケメンで有名だったからで、入学して初めて見た時のミスキャンパスと呼ばれる美女と歩く姿も目立っていた。

誰もが認める美男美女に私も最初は、感嘆なため息をついた。しかし、そこから一変して、いつのまにか見る目は冷ややかなものに変わった。

その理由は、見るたびに違う女と並んで歩いていたからだ。どの人も綺麗だったけど、コロコロと彼女を変える男を好きになれなかった。

「遊びでもいいから、1度付き合ってみたい」とはしゃぐ同級生も多かったが、「不誠実な男なんて最低」と軽蔑する姿勢を崩すことはなかった。

柴田涼の姿は、彼が卒業してから一度と見ることがなかった。
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