控え目に甘く、想いは直線的
曖昧な関係
「明日は待ちに待った俺の誕生日会だ♪嬉しいな♪」


大石さんが変な歌をよく分からない振り付けで歌う。誕生日会がそんなに嬉しいものかと子供みたいで笑ってしまう。


「拓人。浮かれるのはいいけど、エントリーシートの選考進めておけよ」


「分かっていますよ。野々宮さん、分類終わった?」


「あと少しです。午前中には終わると思います」


説明会が終わったあとがとにかく忙しい。届いたエントリーシートのチェックと選考に追われる。私はチェックして、大学ごとに分類をするだけだが、選考する大石さんは大変そうだ。

一人だけでは選考出来ないから、総務部の社員5人が選考メンバーに入り、進めている。エントリー受付は今日の5時で終了する。10日後には筆記試験と集団面接が行われる予定となっている。

応募者数が多いので、私たち人事部三人ではとてもこなせられる業務ではない。だから、総務部に手伝ってもらっていた。


「全くなんでこんな忙しい時に誕生日会なんだよ?」


「要さんが決めたんじゃないですかー? 忘れたんですか?」
< 162 / 224 >

この作品をシェア

pagetop