白衣の王子に迫られました。
王子襲来


その日、ようやく仕事が終わり病院を出たのは午後十時。

急な入院があり、私はその対応にあたっていた。

主治医と一緒に本人と家族へ今後の治療について話し、当面の検査と点滴の指示を出し、ついでにと頼まれた雑用をこなした。

くたくただ。

その時スマホが軽く震える。

香月君からのLINEだ。

可愛いスタンプとみんなの写真。

「二次会? ……香月君も大変だな」

 私は返信をしてまた歩き出す。

途中コンビニに立ち寄ると、お弁当を買った。

自炊なんてここ数年していない。仕事が忙しいのもあるが、正直な所包丁よりもメスの方が上手く使える。

要するに、料理はあまり得意ではないのだ。ていうか、家事全般が苦手だ。

「はー、男に生まれてくればよかったのかも」

そうすれば、どんなに仕事に打ち込もうが、料理が出来なかろうが、別に引け目を感じることもない。

それに、男は三十を過ぎて結婚しなくても誰にも何も言われないんだから。

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