白い隊服
一. 出会い




文久三年 五月のある夜のこと。




月が京の夜道を照らす中、
私はあるところへ向かっていた。




隣には妹の葉月が眠たい目をこすりながら、私のあとをついて歩く。

 


そのまましばらく歩き、角を曲がった先にある一軒家をみて地図と照らし合わせる。




「えー…っと、ここだ。葉月、ついたよ。」


「うー…」



葉月に声をかけ、目の前にある引き戸を叩く。



「こんばんは。」




すると、その家の中から気前の良さそうな女性が出てきた。



「はーい。…あら、あんたは…?」



 
「はじめまして。先日文を送らせていただきました、御堂優月と申します。

こちらが妹の葉月です。

今日から、よろしくおねがいいたします。」
 




「あぁ!善之助さんとこの…うちが朔(サク)や。

今日からよろしゅう。」




朔さんはチラリと葉月を見ると、




「葉月ちゃん、眠いやろ?さ、はよお上がり〜。」



「ん……」


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