お互いに視線を逸らしながら、しばらく無言になった。

ガタンゴトンと電車が揺れて、たまに触れそうになって、何となくお互いにソレを意識しているのが解る。

「……真由はどこの駅で降りるんだ?」

「ええと、二駅向こうです……」

引っ越し先は、会社に近くて、乗り換えがなくて、翔梧のマンションとは別方向に向かう路線を選んだつもり。

つもりなのに同じ方向ということは、翔梧も引っ越したのだろう。

「隣の駅か。案外近いな」

ポツリと呟かれて、その低い声に懐かしさを感じる。

「……そのようですね」

まぁ。それはともかくとして、とりあえずさ……。

「とっても気まずいです」

「だな……?」

気まずいのもお互い様みたいね。

「フラフラするなら、俺に掴まっていていいぞ?」

「あ。いいえ。大丈夫です」

「真由は昔から意地っ張りだからな」

……それは、そうなのかもしれない。

それからまた無言になって、翔梧は私の俯いた頭に手を乗せる。

「そんなところも可愛かったんだけどな……」

それは昔の話でしょう?

降りる駅に近づくと、顔を上げてそれから苦笑した。

「今は可愛くない女なので、やめておくという選択肢があるかと思います」

「いや。意地っ張りは相変わらずだろう」

「高崎さんて、そんなしつこい人でしたか?」

「お前が忘れてるだけだ。俺も相変わらずだしな」

「……それならやっぱりやめておいた方が良いみたい。結果が同じになりそうだし」

「大丈夫だろ?」

その決めつけの根拠はなんなんでしょう?

眉を寄せると、翔梧はクスリと小さく笑った。

「言うようになったみたいだし、俺も……変わったところがないわけじゃない」