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彼は、友達をとても大切にする人。

大学の先輩で、一足先に社会人になっていて、しかも現在はマーケティング企画課の課長をしているから忙しいと思う。

うん。
友達や同僚とのつきあいを蔑ろにする人よりはいいし。大切にすることは、とってもいいと思うんだ。

それに今は、ちゃんと私のことも大切にしてくれる。

とてもとても大切にしてくれる。

それはありがたいし、嬉しいことだし、それはそれでいいんだと思うんだ?


思うんだけど……。


「たまーに、課の人と女子会をしたいんだけど」

休日にソファーに座りながら、雑誌をめくる彼に首を傾げる。

「帰り遅くなるなら……俺が迎えに行く。それでいいならオーケー」

視線も上げずに言うから、ちょっとムッとした。

「あなたが部下の人を連れて、飲み会に行ったとき、私は迎えにいった?」

「夜道のリスクが高いのは、女のお前の方が高いだろ」

ありがとう。
うん。ちゃんと考えてくれているのはわかるんだけどねぇ。

「束縛系はモテないぞー?」

「別にモテたいわけじゃないし」

「んじゃ、私に愛想つかされたいわけね。わかったー」

翔梧が雑誌をバシッと閉じて、無言で顔を上げる。

「あのね翔梧。もう夫婦なんだし、そこまでしなくても私は逃げないから」

「……逃がさないけど」

溜め息をついて翔梧から雑誌を取り上げると、その膝の上に座って、首に両手を巻き付ける。

「翔梧。女は秘密のひとつやふたつ、持っていたい生き物なのよ」

「俺は別に秘密にしたいことはない」

そうだねー。
それは、ここ1年でよくわかるわー。

諦め半分、耳元に唇を近づけて囁いてみる。

「絶対に親バカになりそう」